大学生活かなんかをきっかけに、ある男の人(K)が引越ししたときの話。
友達や彼女にも引越しを手伝ってもらい一段落。新生活にも徐々に
慣れてきた頃、不思議なことが起こりだした。
ドンドンドン!
夜7時頃、誰かがドアをたたく音がして(インターホンのない
アパートらしかった)、Kは「誰だろ?」と思いながらドア穴で確認した。
すると、頼んでもいないピザを届けに宅配人が立っている。
宅配人は「ピザをお届けにまいりました」と言うので
あれ?と思いドアを空け、「ウチは頼んでませんよ」というと
その宅配人はうつむき、無言のまま立ち尽くしている。
変な沈黙が10秒ぐらい続いた後、宅配人はそのまま去ってしまった。
「変な奴だなー」と思いながらその日は何事もなく過ぎた。
しかしそれから一週間ほど経った頃、また同じようなことが起こった。
ドンドンドン!
同じような時間だったのでKはもしやまたピザ屋じゃ…と思ってドア穴から
見ると案の定、同じピザの宅配人だった。一体どこのピザ屋だよ!と思って
ドアを開けるとこの前と同じ様にうつむいたままピザを持って立っている。
Kは「だから、ウチは頼んでませんから!」と言いつつ宅配人の左胸のロゴを確認した。
すると、○○というよくあるチェーン店で、青いジャンパーを着た
その宅配人がYという名前だともわかった。「今度来たらクレー
ムつけてやる」と、とりあえずその場はやり過ごした。
しかし少し経った頃、また同じ宅配人がピザを届けにやって
きた。Kはたまらず「あんたの名前出して会社に電話するよ!」と
言うと宅配人はまた無言で立ち去っていった。
Kはさっそく番号を調べて電話した。
「ウチへよく間違って宅配されてものすごく迷惑してるんですけど!」
すると店長が出てきて「誠に申し訳ありません」と平謝り状態だった。
Kも拍子抜けして「Yって方は新人さんですか?」と何気なく
聞いてみると、
なかなか答えがないので聞こえてんのか?と思いながら
K「・・・もしもし?」というと、
店長は「Y、ですか…」と言う。
K「え?はい、確かにYさんって名札がありましたけど。青いジャン
パーの胸の所に」
店長「青いジャンパー?ウチはつい最近全店舗で赤いジャンパー着用
に変えたはずです。青い方はもう古いんで処分しましたから」
K「でも」
そう言うと店長は「もしかすると」と震えた声で話してくれた。
「Yはたしかにウチのアルバイトでした。ちょうど4ヶ月前、配達中に
死んだんです」
「えっ」
ためらいもあったがKは全てを聞くことにした。
店長の話によれば、Yはとても熱心に仕事をこなしとても頼りに
していたという。4ヶ月前のあの日もあたたかいままお客さんにピザを
届けようと急ぐあまり、雨の道路でスリップ事故を起こしてしまった
という。
そしてその頃はまだ青いジャンパー着用だったという。
「もしかしてお客さんのアパートは○○の202号室ですか?」と店長が
聞いてきたので驚いて
「そうです。なんで・・・」
「お客さんの前にその部屋に住んでた人がウチのピザを注文してくれた
んです。そしてYが宅配中あの事故に…その注文をとったのが私でし
たからよく覚えています」
Kはそのアパートを出て行くことにした。
頑張り屋で真面目だったY
彼は今もそのアパートの202号室へピザを届けているという
- 2005/09/18(日) 15:03:29|
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